著書の紹介

データ伝送技術 実用ノウハウのすべて


本の表紙

A5判 343ページ
発行日 1991年9月(初版)
著者 宮崎誠一
発行所 CQ出版



内容の紹介

● データ通信の技術は、ハードウェアレベル(下位プロトコル)からソフトウェアレベル(上位プロトコル)まで、広い範囲にまたがっています。データ通信は、その適用対象によって、電話やISDNなどのブロードと、ビルや事業所構内のローカルとに分けられます。さらに、伝送媒体によって、有線と無線とに区別されます。
● この本は、ローカルかつ有線の範囲で、ハードウェアレベルの技術を中心にまとめた実用書です。伝送技術の基本はブロードや無線にも共通です。基本的な技術は、ブロードや無線に対しても役立ちます。
● この本の前身は、1984年に出版されたマイクロコンピュータ・データ伝送の基礎と実際です。他に類書がなかったこともあり、ベストセラーとして広く読んで頂きました。
● データ通信技術の進歩はきわめて早いので、1991年に、新しい技術を盛り込んでこの本を書き下ろしました。
● データ伝送は、下位プロトコルだけでなく、上位プロトコルも重要です。上位プロトコルに関しては、1988年にデータ通信技術セミナーを出版しています。データ通信技術セミナーは、ブロードの伝送技術を主体とした本でもあります。これとの重複を避けて、この本は一層ハードウェア寄りとなっています。

● この本も、出版されてからかなり時間がたっています。このため、最新の技術は含まれていません。しかし、この本に盛り込まれている基本的な技術や考え方は、今でも十分に役立ちます。
● 他に類書がないので、この本は、データ通信技術の基礎を学ぶ本として、現在でも十分その役割を果たしています。個々の最新の技術はそれぞれの専門書を参照してください。

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内   容

第1部 データ伝送の基礎技術

● データ伝送に関する一般的、入門的内容について解説します。長距離/高速の伝送では、伝送固有の技術を必要とします。この第1部は、伝送固有の技術を必要としない範囲のデータ伝送技術について示します。

第1章 プロローグ
データ伝送に関する導入部です。データ伝送に関する基本的技術および用語を、やさしく解説します。

第2章 インターフェース
データ伝送の基礎であるインターフェースについて説明します。
まず、一般に広く使用されているインターフェース用のドライバ/レシーバ回路を紹介します。次に、RS232C/RS485などの規格化された標準インターフェースについて解説します。

第3章 直列伝送の概要
データ伝送で最も広く使用されているのが直列(シリアル)伝送です。直列伝送は、1〜2本のケーブルで1ビットずつデータを送る方式です。
これに対して、多数のケーブルを使用して同時に複数ビットのデータを送るのが並列(パラレル)伝送です。並列伝送の代表例であるセントロニクス・インターフェースについては、第1章の中で紹介しています。
この第3章では、直列伝送の概要を解説します。直列伝送には直列伝送用のLSIを使用します。これを中心にした説明です。
現在では、直列伝送用LSIもマイコンも新しい機種が利用されています。しかし、基本的なことは変わりません。

第4章 直列伝送用LSI(キャラクタ・ベース)
直列伝送には、7〜8ビットの文字コードを単位として伝送するキャラクタ・ベースの伝送と、ビット単位で任意パターンのデータを伝送できるビット・ベースの伝送とがあります。
キャラクタ・ベースの伝送は、さらに非同期式(調歩同期式)と同期式とに分けられます。直列伝送で最も多く使用されているのが非同期式です。非同期式および同期式について、具体的なLSIを例にとって解説します。
なお、実際の伝送が同期式であっても、パソコン・インターフェースの部分では非同期式が利用されています。

第5章 直列伝送用LSI(ビットベース)
同期式、非同期式よりもさらに高度な、ハイレベル手順用のLSIについて説明します。ハイレベル手順は、ユーザーが直接使用しなくても、ブロード・システムの内部で広く使われています。


第2部 データ伝送固有の技術

● 長距離/高速の伝送では、データ伝送固有の技術が必要です。この第2部では、データ伝送固有の技術の中で、一般的なものについて解説します。この第2部をマスターすることによって、比較的簡単な伝送システムの設計を行うことができます。

第6章 伝送用ケーブルとその特性
伝送に使用される電気ケーブルについて、種類、特性、使用法などを説明します。電気ケーブルの特性は、信号のひずみ、ひいては伝送の信頼性に大きく影響します。

第7章 光ファイバ・ケーブル
光ファイバは、電気ケーブルよりも優れた伝送特性を持つ伝送媒体です。最近では広く使用されています。光ファイバとその周辺技術について解説します。

第8章 ノイズの問題とその対策
エレクトロニクス全般にとって、ノイズによる誤動作は大きな問題です。とくに、データ伝送ではノイズ問題は重要なテーマです。この本では、データ伝送に固有のノイズ問題に絞って、その対策を説明します。
ノイズ対策一般については、別の著書であるノイズ対策Q&Aおよび最新 ノイズ対策実用マニュアルがあります。
とくに後者は、この本では記載していないデータ伝送固有の問題を説明しており、この本の補足になります。

第9章 絶縁とそのドライバ/レシーバ回路
ノイズ対策のきわめて有効な手段に、回路の絶縁があります。これに関して、第8章から独立させて、ここで詳しく解説します。
具体的な絶縁の方法、および絶縁と組み合わせて使用するドライバ/レシーバ回路について示します。

第10章 伝送誤り制御
データ伝送では、どんなにノイズ対策を施しても、ノイズによる誤動作を完全になくすことはできません。そのため、誤動作を検出、訂正して、正しいデータを引き渡す伝送誤り制御の技術がきわめて重要です。
この章では、伝送誤り制御について実用的に説明します。
なお、伝送誤り制御は、ノイズなどによる誤動作だけでなく、ハードウェアの障害を含む各種の異常に対応できます。


第3部 伝送高度化の技術

● 第2部よりもさらに高度なデータ伝送固有の技術について解説します。この第3部をマスターすれば、かなり高度な伝送システムを設計することができます。

第11章 変調と符号化
長距離高速化の技術として代表的なものが、変調と符号化です。変調技術の基本的な考え方について説明します。符号化については実用的に解説します。

第12章 同期の技術
伝送高度化の技術として、もう一つ重要なのが同期の技術です。同期に関する技術を示します。
同期は符号化にも関連する技術であり、符号化についてもさらに突っ込んで解説します。

第13章 多重伝送と簡易ネットワーク伝送
高度伝送技術の中心は、多重伝送とネットワーク伝送です。簡単な多重伝送から、やや高度なネットワーク伝送まで、各種の具体的な方式を紹介します。
多重伝送の技術は、それ単体としてだけでなく、より高度な通信システムの一部としても利用されています。

第14章 ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)
もっとも高度なネットワーク伝送が、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)です。LANは、これだけでも1冊の本になります。この本の趣旨の範囲で、おもにハードウェア・レベルについて簡単に示します。




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