ノイズ対策技術

QAROOM

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[投稿No]  31

[関連投稿No] 30 [関連章節No] 7 [種別] 質問
[ 名 前 ]  さいとう [ 題 名 ]  クロストーク測定
[ 質 問 ]
投稿No30を読んで、よくわからなかったので基本的 なことで申し訳ありませんが、教えていただけますでしょうか。
関連章節7のクロストークの波形は、実際はどのように観測されているのでしょ うか。平衡を維持するとのことですが、プローブの容量の影響は クロストーク波形に影響しないのでしょうか。
実際に測定してみ ようと思います。測定に必要な条件等(オシロの周波数帯域、プ ローブ等)も合わせて教えていただけますでしょうか。 基本的なことで申し訳ありませんが、よろしくお願いいたしま す。
[ 回 答 ]
このご質問も、投稿 No.30 と同様に、クロストークの問題というよりも、 オシロスコープの使い方の問題です。
(1) 講座に 示した波形は、はるか以前の測定なので、細かいことは良く覚えて いません。考え方は、下記の通りです。
図.3 は、プリント基板上の平行して走る 2 本のパターン間の クロストークの測定です。この例では、測定信号レベルも高く、ごく 普通の測定であったように、記憶しています。
しかし、もっと厳しい条件の測定では、次のような注意が必要です。 厳しい条件とは、一般に測定対象のインピーダンスが高いときです。
プリント基板上の信号パターンは、通常各 1 本で、共通の戻り線を 使用しています。2本のプローブのグラウンド端子は、前記信号の 共通の戻り線上の、1点から取ります。離れたところから取っては いけません。またその 1 点の位置は、クロストーク発生側と、受け側の 測定点にできるだけ近く、かつ対等性がある場所とします。
(2) 一般論として、プローブを測定個所に接続すれば、接続個所に 対してプローブが並列に挿入されたことになります。 この影響を小さくするためには、測定個所のインピーダンスに対して、 プローブのインピーダンスを十分に大きくすることが必要です。
しかし、測定個所のインピーダンスが大きいと、 プローブのインピーダンスが無視できなくなります。そしてその影響が 測定誤差になります。
さて、プローブは、そのインピーダンスを大きくするために、 その容量は、小さくしてあります(通常 10pF 程度)。しかし、測定個所 の容量がプローブの容量に対して、相対的に小さければ、プローブの 容量は測定誤差の要因になります (測定個所の容量に、プローブの容量が、 並列合成されます)。
(3) クロストークは、その元になる信号がノイズ源となって、 他の信号線に影響を与える現象です。その元になる信号は、各種各様 です。周波数帯域も、電圧レベルも、電流値も、インピーダンスも、 いろいろです。
クロストークを受ける信号線もまた、各種各様です。受ける側の、 信号レベルが高ければ、大きなクロストークが載ってきても支障は 起こりません。問題となるクロストークのレベルも周波数帯域 も異なります。
以上のように、クロストークといっても、一概には言えません。 オシロスコープの仕様は、測定対象によって異なります。
大雑把に言えば、周波数帯域は、クロストークの元になる信号の周波数 帯域です。信号レベルは、クロストークが大きければ、元の信号と同程度 ですが、クロストークが小さいときは、それに対応して低くなります。


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[投稿No]  32

[関連投稿No] [関連章節No] 911 [種別] 質問
[ 名 前 ]  直石 [ 題 名 ]  チョークコイルで電圧降下?
[ 質 問 ]
<いつもお世話になっています>
先日、マイコンボードを組み込んだ装置の5V電源波形をオシロで見て いると、I/Oの出力タイミングに同期して電源波形が2Vpp程度振 れていました。スイッチング電源の出力定格は2Aで、装置自体の消費 電流は250mA程度です。
同じ5V電源を使用している部分への影響 が気になり、マイコンボードとその他の部分とに電源配線を分け、さら にマイコン側にはチョークコイルを入れてみました。(高周波的に分離 されると思いました)
すると、マイコンが動作しません!?調べてみるとチョークコイルで電 圧が降下し、マイコンの電源電圧が3V程度になっていました。 チョークコイルのインダクタンスは10μHで直流抵抗は40mΩです。 また、スイッチング電源からマイコンへの配線サイズは0.75sqで す。
@上記現象(電源の振れ)の対策方法をご指導いただけないでしょう か?
Aチョークコイルで電圧が下がるメカニズムについて教えていただけな いでしょうか? 以上、大変お忙しいと思いますが宜しくお願い致します。
[ 回 答 ]
ご質問に記載された条件だけからでは、判断し兼ねます。とくに、 「I/O」が「マイコンボード」の中にあるのか、外にあるのかが、 記載されていません。どちらであるかで、大きく異なります。
いずれにしても、チョークコイル以前の問題があり、電源系統が、 正常に動作していない可能性も、あるように思われます。また、 マイコンボードに問題があることも考えられます。
まず、単に電源配線を分けるのではなく、マイコンボードだけを、 単独の電源で動かして見ることです。可能であれば、マイコンボード を、装置から取り外した状態でテストするのがベターです。
トラブルがあったときは、できるだけ、部分部分で切り離し、 単独で動かしてみるのが、良い方法です。


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[投稿No]  33

[関連投稿No] [関連章節No] 5 [種別] 質問
[ 名 前 ]  高村 [ 題 名 ]  地中の無線通信(コイル近傍の電磁界)
[ 質 問 ]
当社では、地中での無線通信を研究しております。現在、波長が 100km程度の低周波電磁波を利用して、100m程度の岩盤中の 無線通信が出来ております。直径が30cm程度のコイルを利用して 電磁波を発生させています。
しかし、理論的な裏付けが出来ていないのが現状です。これまでは、 平面波 の電磁波方程式から導かれる磁場減衰理論等を考えていたのですが、 WEB講座の「良く分かる実用ノイズ対策技術」を読ませて頂いて、 コイル近傍では、平面波ではなく、 電磁誘導 として考えるべきだと気付きました。
←正しいですか?
そこで、 ・コイル近傍の電磁界をあらわす理論式の導き方、考え方 ・コイルの ニアフィールドとファーフィールド との境界付近における理論的な考え方(理論的にどこまで電磁誘導で、 どこから平面波として考えればよいのか)を詳しく知りたいです。
宜しくお願いいたします。
[ 回 答 ]
(1) コイル (アンテナ) の近傍では、電磁波は平面波では無い、 という点は正しいのですが、質問の表現は正確ではありません。
アンテナからの放射は、全て電磁波です。電磁波は、電界と磁界の 両方からなる波動です。しかし、アンテナの近傍と離れたところでは、 電界と磁界の状態が異なります。そこで、アンテナの近傍と離れた ところとを、ニアフィールド / ファーフィールドと呼んで区別して います( 5(2)[図 7]参照)。
ニアフィールドにおいては、電界と磁界との強さが異なり、かつ波面 は球面とみなすことが必要です。 ファーフィールドにおいては、電磁波は、電界と磁界との強さが 等しく、かつ波面は平面とみなすことができます。これを平面波と 呼んでいます。
また、電界による誘導現象 (電界を媒介として電圧を誘起する現象) を静電誘導、磁界による誘導現象を電磁誘導と呼んでいます。すなわち 静電誘導は電界だけを対象とした現象であり、電磁誘導は磁界のもつ 電磁現象だけを対象とした現象です。
実際には、アンテナ (帯電したものは全てアンテナです) からの放射 は、すべて電磁波であり、電界または磁界が単独ではありません。
しかし、電界が支配的であれば、近似的に静電誘導のみと、 みなすことができます。また、磁界が支配的であれば、電磁誘導だけ と、考えることができます。
平面波に比べると、ニアフィールドの取り扱いは複雑です。 そこで、簡便法として、ニアフィールドを (コイルの場合には) 電磁誘導で 近似 します ([図 7] 参照)。
(2) ニアフィールドとファーフィールドとの境は、 テキスト にも記載されているように、電磁波の波長を λ とすれば、約 λ/6 です。したがって、ご質問のケースは、ニアフィールドの範囲です。
[注] 上記の境界は、ディジタル的なものではなく、連続的に変化 している状態の、ある場所に線引きしたものです。そして、境界に 近いほど平面波に近く、アンテナに近いほど静電誘導 / 電磁誘導が 支配的になります。
ただし、境界付近は、下図に示すように、かなり顕著な変化点です。
波動インピーダンス
図は、波動インピーダンスと呼ばれるもので、電磁波に対する 空間が持つインピーダンスです。波動インピーダンスは、 電気ケーブルにおける 特性インピーダンスに相当するものです。図の横軸が 1 の ところが境界です。
ご質問のケースは、ニアフィールドであり、かつ図の左端よりも更に 左と考えられます。したがって、電磁誘導だけで考えて差し支えない と思われます。
なお、下記の図書が参考になります。
   清水康敬、杉浦行「電磁妨害波の基本と対策」電子情報通信学会 (平成 7 年 9 月 20 日)


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[投稿No]  34

[関連投稿No] [関連章節No] 9(2-C) [種別] 質問
[ 名 前 ]  宮田郁夫 [ 題 名 ]  FG,SGに関して
[ 質 問 ]
ノイズ対策を探していて、ここにたどり着きました。 非常に勉強になります。
質問ですが、私どものシステムでは電子機器(コントローラ)と強電機器(サーボドライバ)の設置場所が隣になり、接地を分離することが困難です。(取り付けボルトを通して共通になってしまいます。)
このような場合、コントローラのSGとFGは分離する方が良いのでしょうか? 以上、よろしくお願いいたします。
[ 回 答 ]
ご質問から推定すると、コントローラの SG と FG とを分離するということは、コントローラの SG を接地しないで浮かせることになると思われます。このような場合は、一概には言えません。
その場所のノイズ環境によって、(1) コントローラの SG を浮かせる。(2) コントローラの SG を FG に接続する。(3) コントローラの SG を、抵抗またはコンデンサを介して FG に接続する。以上の 3 つの方式が考えられます。結局は、試して見て最も良い方式を選ぶことになります。
その場合、システムの周囲環境が、ほぼ同一であれば、どれか最も良い 1 つの方式に統一できますが、システムの環境が個々に大きく異なるときは、その環境に応じて最適な方式が異なリます。
なお、確率的には、コントローラの SG を FG に接続するするのが良い場合が多いと考えられますから、この方式を標準にして、それで問題が発生する場合に、他の方式を試みるのが良いと思います。


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[投稿No]  35

[関連投稿No] [関連章節No] 19(3-A) [種別] 質問
[ 名 前 ]  山本 肇 [ 題 名 ]  PC−モデム間の絶縁
[ 質 問 ]
はじめてメールいたします。
雷対策の一環として、 PC−モデム間でフォトカプラ絶縁をしたいのですが、 どなたか市販品で良さそうなものをご存じないでしょうか? よろしくお願いします。
[ 回 答 ]
残念ながら、適当な市販品を知りません。
この QAROOM を見た読者の中に、ご存知の方がおられましたら、筆者宛にお知らせください。仲介いたします。


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