ノイズ対策技術

QAROOM

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[投稿No]  36

[関連投稿No] [関連章節No] 14(2-C) [種別] 質問
[ 名 前 ]  山平 豊 [ 題 名 ]  CMOSの入力コンデンサ
[ 質 問 ]
初めて投稿させていただきます。このWebは非常にわかり易く説明され ており、いろいろ勉強させて頂いています。誠にありがとうございま す。
ところで、CMOSとコンデンサの組合せでノイズ対策にかなり有用です が、CMOS出力へのコンデンサの取付けは約500PFまでは各Makerも容認 しています。これを余り大きくすると突き抜け電流が多くなり、ラッチ アップも起き易くなって、CMOSの破損につながると理解しています。
質問は CMOSの入力コンデンサの容量です。このコンデンサはノイズ対 策にはかなり効果がありますが、余り大きくするとラッチアップが起き 易くなると思われます。CMOSの破損が起きない、入力コンデンサの容量 の目安を教えて下さい。
[ 回 答 ]
(1) ドライバ/レシーバ共に CMOS の回路を考えます。このとき、長距離であれば、伝送系として考える必要があります。伝送系においては、コンデンサがドライバの近くにあるか、レシーバのそばにあるかによって現象が異なります。しかし距離が短いときは(通常はプリント基板内の配線程度の長さ) 、集中系と見なすことができます。
このときは、中間に入ったコンデンサは、ドライバから見れば出力ですが、レシーバから見れば入力です。したがって、ご質問のように区別して考えることは、必ずしも妥当ではありません。
(2) ドライバの出力電流は、コンデンサの充電電流と考えられます(コンデンサを設けないときにおいても、ドライバ自体の出力容量、レシーバ自体の入力容量等があります)。したがって、ドライバの出力電流値は、コンデンサの容量に、ほぼ比例します。また、ドライバ出力信号の立ち上がり速度も、コンデンサの容量にほぼ比例します。
信号の立ち上がり速度が遅いと、高速動作に対応できなくなります。素子のメーカーとしては、素子の動作速度を規定するために、コンデンサの容量を制限する必要があります。
また、信号の立ち上がり速度が遅いということは、ご質問のように、突き抜け電流を増加させ、ドライバの破壊に繋がります。
(3) レシーバ入力のコンデンサ容量が大きいことは、ご質問のようにレシーバのラッチアップに影響はあると思いますが、(確認したわけではありませんが) 多分実害を及ぼす程ではないと思います。
(4) コンデンサの容量が大きいと、前記のように、信号の立ち上がり速度が遅くなります。一般の CMOC では、入力信号の立ち上がり速度が遅いと、講座に示したように、出力信号が振動します。これは好ましきない現象です。
また、入力信号の立ち上がりが遅いと、突き抜け電流を大きくし、最悪の場合は素子を破壊します。このため、CMOS では、入力信号の立ち上がり速度の最大値を規定しています。ノイズ対策に役立つのは、コンデンサのローパスフィルタとして効果です。このとき、フィルタの時定数は、コンデンサの入力抵抗とコンデンサの容量の積です。
ドライバにコンデンサを直結しているときは、コンデンサの入力抵抗は、ドライバの出力抵抗ですから、低い値です。フィルタの時定数を大きくするためには、ドライバとコンデンサとの間に抵抗を挿入することが有効です。
これによって、コンデンサの容量を低く抑えて、フィルタの時定数を大きくすることが可能です。また、この抵抗は、ドライバの出力電流を抑えることにも効果があります。コンデンサの容量を大きくすることよりも、抵抗の挿入の方が優れています。


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[投稿No]  37

[関連投稿No] [関連章節No] 伝送13.2.(2) [種別] 質問
[ 名 前 ]  櫻井靖彦 [ 題 名 ]  E/O変換器OPT-200について
[ 質 問 ]
OPT-200はバイアス電流によりLEDの光出力を光ファイバと光パワ ーメータを用い計測するとそれはほぼ比例しているのですが、バイアス 電流が大きくなるにつれLEDの光出力の増加量がややへり完全な比例 直線ではなく、やや反った直線になりますよね?
この理由は一体なんな のでしょうか?教えてください。
[ 回 答 ]
ご質問は、この講座の内容とは、直接関係ありません。したがって、OPT-2000 について、具体的には検討しませんでした。一般論として回答します。
一般に物性(或る入力に対応する或る出力の関数関係)は、直線関係にあるとは限りません。しかし、ある変化範囲の中では、直線関係にあると見なすことができる場合があります。このように直線関係がある物性を利用して、センサや、変換器を作ります。
しかし一般にある範囲を超えると直線関係が悪くなります。この現象によって、センサや変換器の使用限界が決まります。
なお、この直線からのずれは、ご質問のケースのように、出力値が大きくなったときに、出力の増加が鈍る方向が、より一般的な傾向です。値が大きいときの方が、損失が増加して、効率が低下することが多いからです。
発光ダイオードにおける発光効率低下の具体的な要因については、調べていませんが、以上の一般な現象に起因すると考えます。


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[投稿No]  38

[関連投稿No] [関連章節No] 6.(1-C)6.(2-A) [種別] 質問
[ 名 前 ]  Enya [ 題 名 ]  終端抵抗の解釈について
[ 質 問 ]
始めまして。Webでの非常に分かりやすい講義を読ませていただいております。
超初歩的な質問をさせて下さい。
終端では抵抗を用いますが、6(2−A)の説明の中では「幸いにもケーブルの特性インピーダンスは抵抗です」とあります。
ですがその前の6(1−C)では特性インピーダンスはインダクタンスとキャパシタンスによるものだとの記述があります。
この違いはどの様に解釈すればよろしいでしょうか?
[ 回 答 ]
講座の説明が、不十分だったため、よく分からなかったのだと思います。以下に補足説明します。
★ ケーブルの特性インピーダンスは、インピーダンスには違いありませんが、等価インピーダンスです。等価インピーダンスについては、4.(5) [コラム.2]を参照してください。
★ 6(1-C)について
(2) 講座 6(1-C)の記述は、特性インピーダンスのことを言っているのではありません。「伝送路は、一般の意味でのインピーダンスを持っている」ということです。そして一般の意味でのインピーダンスとは、抵抗だけでなく、インダクタンスやキャパシタンスの成分があるということです。
(3) もし伝送路が抵抗成分だけであるとすれば、無限に長い伝送路では、抵抗が無限大ですから、電圧を掛けても電流は流れません。
(4) しかし、伝送路には、インダクタンス/キャパシタンス成分がありますから、無限に長い伝送路であっても、交流では電流が流れます。
(5) この無限に長い伝送路においても、交流の電流が流れるということを前提として、
「電圧を掛けたときに電流が流れるのであるから、インピーダンスを持っているように見える」ということです。
(6) そして、この無限に長い伝送路が、インピーダンスを持っているように見える、その(等価)インピーダンスのことを、「伝送路の特性インピーダンスと呼ぶ」ということです。
★ 6(2-A)について
この記述は、ケーブルの特性インピーダンスの特性について述べたものです。「ケーブルの特性インピーダンスは、純抵抗とみなすことができる」ということです。

以上の通りですが、特性インピーダンスは、分かり難い概念です。別の講座「データ伝送」では、特性インピーダンスについて、この講座よりも丁寧に説明してあります(とくに等価インピーダンスの考え方、取り扱い方について)。そちらも読んでください。


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[投稿No]  39

[関連投稿No] [関連章節No] 4.(5) [種別] 質問
[ 名 前 ]  坂口 徳昭 [ 題 名 ]  計装用増幅器の単電源での使用について
[ 質 問 ]
初めての投稿になります。こちらのページはノイズについて非常に詳し く説明されており、ノイズ対策初心者の私としては非常に助かっており ます。
今回質問させていただきたいのは、4.(5)に取り上げられておりました 「計装用増幅器」についてです。
現在、コモンモードノイズが大量に乗った微少な差動信号を増幅したい のですが、単電源用オペアンプを使用したいために計装用増幅器の回路 がそのまま使用できず困っております。
これからの時代、単電源回路の需要はますます高まると思われますの で、他の皆様のためにも是非お教えいただけないでしょうか。よろしく お願いいたします。
[ 回 答 ]
ご質問は、単電源用オペアンプによる計装用増幅器ですが、単電源用オペアンプ回路一般について回答すれば十分と思います。
(1) まず、単電源用オペアンプの特性について、簡単に説明しておきます。
(2) 下記のように記号を定めます。
Vp ハイ側の電源電圧 Vn ロー側の電源電圧
VIp ハイ側の動作可能入力電圧の上限 VIn ロー側の動作可能入力電圧の下限
VOp 最大出力電圧 VOn 最小出力電圧

これらの電圧は下記の関係があります。
Vp > VIp Vp > VOp VIn > Vn VOn > Vn

上記は、電圧のプラス/マイナスには関係なく、単電源、両電源共に成立します。
(3) オペアンプ回路は、非反転増幅器と、反転増幅器の 2 種類に大別されます(4.5.[コラム.1])
このコラムに記載されている回路では、動作の基準になる電圧を決める点が、どちらも、グラウンドに接続されています。
(4) 電源が、プラス/マイナス両電源であれば、入力電圧が、プラス/マイナスどちらに振れても、動作可能です。しかし、電源がプラス単電源のときは、入力電圧がマイナスであると、増幅器の動作範囲を外れてしまいます。
(5) 入力電圧が、プラス/マイナスどちらであっても、動作可能な条件は、動作の基準になる電圧を決める点が、ハイ側電源電圧と、ロー側電源電圧との中間であれば良いわけです。
(6) 以上から、単電源で、入力電圧がプラス/マイナスどちらであっても動作可能な条件は、

入力がプラス/マイナスで動作する条件

において、Vb = Vp/2 であることが分かります。
この基準電圧 Vb は、安定な電圧であることが必要です。この基準電圧のところは、原理的には電流は流れません。しかし耐ノイズ性を高くするためには、ローインピーダンスの定電圧源が、望ましいのです。


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[投稿No]  40

[関連投稿No] [関連章節No] 8.(3)9.(3-D) [種別] 質問
[ 名 前 ]  Dragon [ 題 名 ]  磁気シールドについて
[ 質 問 ]
いつもありがたく参考にさせて頂いています。ありがとうございます。
低周波での磁気シールドについての質問ですが、通常磁気シールドは接地を必要と しませんが、シールドを接地しても、磁気シールド効果は変わらないの でしょうか?
またその時は静電シールドの効果も発揮するのでしょう か?
また、回路によってシールドワイヤーのシールドのグランドを 両端で取っているものと片側でのみ取っているものがありますが、 あれはどのような違いがあるのでしょうか?
よろしくお願い致します。
[ 回 答 ]
(1) 低周波の磁気シールドのシールド材には磁性体を使用します。そのシールド効果は、図.3に示すように、磁性体が、磁力線を内部に入れないようにしていることです。この効果は、シールド材の接地とは関係ありません。
(2) シールド材が導電体であるときは(たとえば鋼製ケースは、磁性体であり、かつ導電体です)、それを接地することによって、静電シールドの効果があります。また、接地によって、シールド材の帯電を防止し、その結果として静電気放電を抑える効果もあります。これらの効果をも期待するときは、接地を行います。
(3) シールドワイヤのシールドは、9.(3-D)に示されています。シールドワイヤに限らず、一般にシールドは、静電誘導と電磁誘導 ( 高周波 ) に対して効果があります。
シールドワイヤの場合には、静電誘導に対しては片側接地が好ましく、両側接地はグラウンドループを作るのでマイナスに働きます。電磁誘導に対しては電流の経路を作るので、両側接地が有効です。
(4) このとき、低周波のノイズに対しては、耐静電誘導の効果の方が効き、高周波のノイズに対しては、耐電磁誘導の効果が勝ります。結果として、図.28図.29 のようになります。
(5) 以上から、その場所のノイズ環境によって、低周波のノイズが支配的であれば片側接地の方がよく、高周波のノイズが支配的であれば両側接地が望ましいことになります。


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